2021 年7 月
社会連携委員会 動画WG
スピーカー動画非公開・再公開の経緯について
1.はじめに
電気学会社会連携委員会では、電気の基本的な知識を、子どもたちを含む一般の方を対象にして、簡潔に判りやすく紹介し、理解していただくための動画を作成しています。その一環として2021 年4 月に、動画教材「スピーカーはどうやって音を出すの?」(以下では、S 動画と略記)をウェブで公開しました。動画ファイルをYouTube に置き、社会連携委員会のウェブ「世界は電気でできている」の「動画を使おう」のページ(https://renkei.iee.jp/video )からYouTube へのリンクを貼る形での公開です(図1)。
しかし6 月中旬に私たちはS 動画のYouTube での公開を一旦中止しました。この度、YouTube 公開を再開しましたので、この間の経緯について説明致します。
2.S 動画非公開に至る経緯
S 動画非公開は動画チーム内で、以下の問題提起がなされたことに起因します。
『S 動画の後半で用いている図(図2)は、現在広く使われているダイナミックスピーカーの図である。図2の場面に先行する場面ではホワイトボードから音が出る実験で、そこでは、電磁石となったコイルが作る磁界によって永久磁石が吸引・反発される結果として、ホワイトボードが振動して音が出ると説明している。しかし、図2のスピーカーでは、固定された永久磁石の作る磁界の中にスピーカーコーンに直結されたボイスコイルが配置され、コイルに音声電流を流すことによりボイスコイルが振動し空気振動に変えて音を出している。この動作は、ホワイトボードの実験のように永久磁石が作る磁界とボイスコイルが生み出す磁界の吸引・反発の相互作用で説明するのは不適当であり、磁界中の電流に生ずる力(いわゆるフレミングの左手の法則)で説明すべきものである。S 動画にはその説明がないので、修正するべきではないか。』
この問題提起を受け、動画チーム内での検討を実施することとし、当座の措置として、S動画のYouTube での公開を一旦中止することとしました。
3.動画チームでの検討結果
動画チームでは、前述の問題提起に対する議論を重ね、以下の結論を得ました。
1)現状のS 動画の説明は、一般の方を対象とするスピーカーの動作説明として妥当である。
2)S 動画後半のダイナミックスピーカーの動作原理を詳しく知りたい方のために補足資料があった方がよい。
3)上の2 項の判断の背後には電磁気学的な考察がある。大学生レベルの学びのために補足資料があった方がよい。
この結果、現状のS 動画を修正せず、YouTube 公開を再開することとしました。また2)と3)項に対応して次の二つの補足資料を用意し、ウェブの「動画を使おう」ページの「一歩先へ」にアップしました。
*フレミングの左手の法則によるダイナミックスピーカーの動作説明 (中学生、高校生、一般向け)
*ある大学の電気系研究室の学生同士の仮想対話(大学生向け)
以上